以前に天気と関節の痛みについて記載していますが、似たような論文の発表がありました。
NPJ Digital Medicineの10月24日オンライン版に掲載されたものです。
英マンチェスター大学で行われた実験で、慢性疼痛患者(関節炎や線維筋痛症、片頭痛、神経障害性疼痛)を対象に、スマートフォンを用いた調査をしました。
参加者には、スマホアプリを用いて、関節痛の症状の程度を約6カ月間にわたり毎日記録してもらい、
そして、スマホのGPS機能から得た位置情報を用いて地域の天候を特定し、痛みの程度と関連づけをしました。
結果
・乾燥した日よりも湿度が高い日には、関節痛の重症度が高まる。
・気圧が低い日や風速が強い日にも痛みは強まったが、これらの天候条件のうち「湿度」が痛みの強さと最も強く関連していた。
・気温と関節痛の重症度との間には明らかな関連は認められなかった。
・「湿度が高くて寒い日」や「風が強くて寒い日」には、痛みはより増す可能性が示された。
・雨と痛みの強さとの間に関連はみられなかった。
研究の意義
天候と疼痛の関連を明らかにすることができれば、天気予報と同じく慢性疼痛の強さを予測できる可能性があります。
また、痛みの程度を予測できれば、日常的な活動の予定が立てやすくなり、このような研究データは、疼痛の新しい治療法の開発につながることが期待されます。
ヒポクラテスの時代から、天候は関節炎の症状に影響すると考えられてきていますが、
数多くの研究が行われてきたにもかかわらず、いまだ科学的に一致した見解には至っていません。
スマートフォン活用することで、より多くの慢性疼痛患者の症状を
毎日、季節別に追跡できるようになれば、この領域の研究は大きく進展すると期待されます。