30代の男性が右手の甲が痛いと言って来院されました。
ゴルフのラウンドを回っていた時に、アイアンでダフってから右手の甲が痛くなり、その後も我慢してラウンドを回りましたがかなり痛かったとのことでした。
痛めてから2週間ほど経過して来院されました。
こちらの患者さんは整形外科での確定診断がなされていませんが、私は第2中手骨基部の長橈側手根伸筋腱付着部で裂離骨折に近いものが起きていたのではと考えていました。
患者さんにその旨を伝え整形外科に行くように伝えました。
第2中手骨基部の特徴
第2中手骨の基部は2股に別れた構造をしており、大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、第3中手骨基部と関節があります。
関節周囲には強靭な靭帯で結合しているので、第2CM関節の可動性はほとんどありません。
そのため、第1、5指のCM関節で起こるような脱臼骨折は生じず、裂離骨折を起こします。
長橈側手根伸筋腱付着部での第2中手骨基部裂離骨折の発生機序
この疾患は稀であり、転倒や殴ることで受傷するという報告があります。
手関節が掌屈強制された状態で、長橈側手根伸筋腱に牽引力が加わり、その時に第2中手骨に軸圧がかかることにより生じます。
治療法
裂離した骨片には長橈側手根伸筋の持続した牽引力がかかり、骨片は近位に転位しやすいため保存療法は困難です。
保存療法で様子を見ても、疼痛が残ったり、長母指伸筋腱が転位した骨片により断裂を生じたという例もあるので、手術療法が第1選択となります。