高齢者の方を治療していると、「膝が痛くなってきたから明日は天気悪くなるかも」などという会話をされることが多いです。
「天気が悪いと関節が痛くなる」というのは昔から言われています。
古代ローマ時代にヒポクラテスが多くの病気が季節の変化と関連している事を示していました。
気温、気圧、湿度、降雨量、雷、日光、空気中のイオンなど多くの気象学的因子が痛みの変化に寄与されると考えられています。
変形性関節症、関節リウマチ、線維筋痛症、幻肢痛、頭痛、瘢痕痛、痛風、三叉神経痛、腰痛、気分障害といったものが症例報告されていますが、きちんとコントロールされた研究はありません。
変形性関節症の痛みに関連する気象学的因子の報告では、気温や気圧の低下で痛みが悪化する傾向があるということが認められています。
天気と通院
降雨と関節痛や背部痛による外来受診に関連はないことが、ハーバード大学で155万人以上の米国人の高齢者のデータを解析した研究で明らかとなったそうです。
この研究も関節炎の患者において、気象条件の変化で関節痛や背部痛の症状が増悪するという考えに基づいてなされました。
内容は雨が降った日と降らなかった日で、疾患(関節リウマチ、変形性関節症、脊椎症、椎間板障害、その他の非外傷性関節障害)に関連した関節痛または背部痛による外来受診の割合を調べたものです。
結果は、関節痛や背部痛と降雨に関連はみられず、関節リウマチ患者においても有意な関連は認められなかったそうです。
雨が降ったら出かけたくないという心理は無視されているように思うのですが、この研究は通院と天気であって疼痛と天気ではありません。