股関節・膝・足

膝関節筋という名前の筋肉

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先日、明治国際医療大学の助教の先生とお話をする機会があり、

研究テーマについて興味深いお話が聞けました。

その先生は、以前勤めていた整形外科時代の先輩に当たる方で、当時からも秀でていた発想を持っていて、今現在もその素晴らしい発想を活かして研究をされていました。

「『膝関節筋』って知ってる?」

と聞かれ、初めて聞く名前なので、

そんな筋肉ってあるんですか?と聞き返したところ、

「ネッターとか解剖の本にしっかり載っているよ」

と言われました。

(帰って調べたら、ありました。)

「肘には肘関節筋、肩には肩関節筋ってのもあるんだよ」

と言われ、

(これらは確認できず)

「これらの筋肉は関節の安定性に寄与する筋肉だと思うんだけど、この筋肉に関しての論文や研究がほとんどされていないから、これを調べる為に、大学に勤務することにした。」

と言っていました。

この研究がなされれば、膝くずれや肩関節不安定症の構造・機能的な原因以外のものが分かる事になります。

大学病院レベルのものでは無く、臨床に立つ人間も知識として知っておかなければいけません。

膝関節筋とは

中間広筋遠位部の分岐したいくつかの線維で、大腿骨骨幹部前面で膝蓋骨の上の陥凹部から始まって、膝関節包の膝蓋骨の上の陥凹の位置までとされています。

作用は、膝関節の伸展時に膝関節包が巻き込まれないように上方に引っ張ります。

機能不全が生じると膝関節包が膝蓋骨と大腿骨の間に挟み込まれるので拘縮の原因とも考えられています。

しかし、この機能は実際はあまりよく分かっておらず、『膝関節筋』の詳細な機能の報告がありません。

動物の膝関節筋での報告では、加齢とともに脂肪組織に変わるというものがあるそうで、加齢によって転倒が増えることからも、先ほど登場した先生は、関節包の巻き込みだけでなく、安定性にも関与しているのではと考えたわけです。

実は、

他の筋肉とは異なり、筋紡錘やゴルジの腱器官の数が違うらしいのです。

※筋紡錘の働きは筋の伸展を感知して、筋を収縮させます。過伸張によって筋が損傷するのを防ぐ働きです。
ゴルジの腱器官は逆の作用で、筋肉の過剰な収縮で関節が損傷するのを防ぐために、筋肉の過剰な収縮によって腱に過剰な伸展が加わった時にこれを感知て筋を弛緩させます。

残念な事に酒の席でしたので、筋紡錘やゴルジの腱器官の数がどう違うのかという話は聞けていません。

体表からは確認できない筋肉なので、人間でどう実験して解明するか期待されます。

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