この靴は、テレビの通販番組でも似たようなものが取り上げられるようになったので、
今はもう珍しいものでもないように思います。
整形外科勤務時代には、足の悩みを抱えた人が多く来院されていたので、その対応に追われることが多かったです。
ある日、スタッフが医療用装具の業者に何かしら中足部にいい装具はないか聞いたところこの靴を提案されました。
この靴の試着用を持ってきてもらって、患者さんに試すと良い反応が返ってきました。
先天的に足の踵をつけられないという患者さんにはもっと早く出会いたかったとも言われました。
足底板を挿れることだけでなく、ほんの少し発想を変えるだけでこんなに喜んでもらえるとは思いませんでした。
ロッカーソールとは
ロッカーは『揺り軸』のことです。
靴底が高くなるので、ロック歌手が履く靴に似てるから、という意味では無いようです。
rocking chairの脚を見れば見当がつくと思います。
立脚中期に中足骨頭部はフォアフットロッカーとして下方への荷重を前方方向への動きに変換しますが、市販されている靴の中には、踏み返し時に前足部に大きな圧力がかかり、中足骨頭部に負担がかかることがあります。
靴底を厚くして踏み返しをrocking chairのようにすることで、中足骨頭部の替わりとしてのロッカーファンクションが働き、体重移動が円滑となって、前足部へかかる大きな踏み返し圧を軽減させることができることと、足趾の背屈が制限されるので、前足部足底圧が軽減できるのです。
どんな疾患に良いのか
機能構造的に前足部荷重を防ぎ、MTP関節の背屈を制限するロッカーソールは、モートン病や中足骨頭部痛、強剛母趾などのMTP関節部の障害に有用であると考えられています。