腓骨神経麻痺は臨床上よく目にしますが、腓腹神経麻痺はあまり馴染みがないと思います。
よく、神経障害の勉強をしていると似ているせいかごちゃごちゃになる事があると思います。
腓腹神経は
腓腹神経は知覚神経です。
運動神経の支配がないので、腓腹神経麻痺で足が動かないという事はありません。
脛骨神経からの内側腓腹皮神経と総腓骨神経からの外側腓腹皮神経は共に膝窩部で分岐してそれらが下腿中央1/3部で結合して腓腹神経となります。
腓腹筋の内・外側頭の間を下行して皮下に現れ、アキレス腱外側縁を走行し、外側踵骨枝を出して外果下端の下方を走行して足背に向かいます。
原因
腓腹神経が下腿中央1/3部で結合してから深層と浅層の腱膜間を貫通する部位や皮下に現れる部位で絞扼や圧迫を受けます。
筋肉量が増しているスポーツ選手に発生したりする事が報告されています。
また数は少ないですが、第5中足骨基部骨折に伴って腓腹神経麻痺が生じたという例もあります。
これは骨折部が骨癒合せず、骨片が第5中足骨基部に付着する短腓骨筋に牽引され転位し、それによって圧排されていたというものです。
最後に
第5中足骨基部骨折は頻度的に多い外傷で、転位することも多く、治療をせず偽関節になっている例もよく見ます。
腓腹神経障害が運動神経障害のないもので、障害される範囲も限られていることから、障害のある部位を骨折後の痛みとして患者さんが我慢していることも考えられ、頻度的には多いものかもしれません。
第5中足骨基部骨折で腓腹神経障害が生じることも念頭に入れなくてはいけません。