後脛骨筋腱脱臼は腓骨筋腱脱臼に比べると非常に稀な疾患です。なかなか目にすることはないでしょう。私も経験はありません。
ただ、見逃されることが多い疾患なので、ひょっとすると頻度的には多いかもしれません。
後脛骨筋腱の走行は腓骨筋腱と比べると、
足関節部での走行が直線に近いことと、後脛骨筋腱溝が深いこと、屈筋支帯に覆われている部分が多いため、脱臼しにくい構造となっています。
また、脱臼しても自然に整復されることもあります。
受傷時の足関節の腫れが強いため、治療者は腱の脱臼の存在に気付きにくいので受傷から数ヶ月かかって診断がつくことがほとんどです。
原因
非外傷性
先天的な要素として、後脛骨筋腱溝や屈筋支帯の低形成、後天的な要素として、滑膜・腱鞘・支帯の炎症が原因とされています。
外傷性
スポーツ活動で急激なダッシュやスクワットを足関節背屈外反位で行い、後脛骨筋に強い収縮が生じて発生します。足関節捻挫に併発することもあり、足関節内反でも受傷します。
治療
保存療法が行われている報告もありますが、完治しない例が多く成績はあまり良くないみたいです。手術療法が選択されることが多いようです。