よく見る医療系のサイトで、「中年以降に発症が多い骨の難病」として取り上げられていました。
この疾患は直接診たことは無いですが、整形外科に勤務していた時に患者さんが1人いたことは覚えています。
国試で勉強して、どんな病気だったかすっかり忘れていたので、
もしこの患者さんの担当になっていたら何の所見をとれば良いのか・・・
と焦った記憶があります。
中年以降に多いみたいですが、無症状潜在であったり看過されていたりする事があるのでしょう。
疼痛発生部位の1位が「腰」なので、ぜひ知識として入れておきたいです。
概念
骨の局所で、異常になった骨吸収が起こり、続いて過剰な骨形成が生じますが、
この時に骨の疼痛があり骨が肥大したり弯曲するなどの変形が起こったり、
罹患した部位の局所の骨強度が低下します。
1個の骨が罹患する場合と複数ヵ所の場合があります。
骨パジェット病のほか、骨粗鬆症やがんの骨転移にも破骨細胞が関与しています。
これらの疾患では、破骨細胞の活動が亢進しており、それによって、それぞれの疾患がつくり上げられています。
疫学
発症年齢は40歳以降で、年齢とともに頻度が上昇します。
発症頻度に明らかな人種での差が見られます。欧米などは比較的頻度が多く、アジアやアフリカ地域では少ないです。
遺伝に関して、家族集積性は日本では6.3%で欧米での15~40%程度と比較して少ないですが、これは無症状例潜在の可能性が指摘されています。
病因
骨パジェット病の病因は不明です。
破骨細胞の働きに関与するいくつかの遺伝子異常が、高齢者発症の通常型、早期発症家族性、またはミオパチーと認知症を伴う症候性の骨パジェット病患者に確認されています。
好発罹患部位は体幹部と大腿骨で、75~80%を占めています(骨盤30~75%、脊椎30~74%、頭蓋骨25~65%、大腿骨25~35%)。
症状
X線検査や血液検査で偶然発見される場合が多く、有症状の患者は約30%程度と言われていますが、日本での調査では75%が有症候性です。
最も多い症状は疼痛で、罹患骨由来の軽度~中等度の持続的骨痛がみられ、夜間に増強する傾向があります。
下肢骨では歩行で増強する傾向が見られます。
疼痛部位は腰痛、股関節痛、殿部痛、膝関節痛の順に頻度が高くなります。
疼痛の次に多い症状として、外観上の骨格変形です。
サイズの増大(例:頭)や弯曲変形(例:大腿骨、亀背)がみられ、頭蓋骨、顎骨、鎖骨など目立つ部位の腫脹、肥大や大腿骨の弯曲が見られます。
顎骨変形に伴い、噛み合わせ異常や開口障害といった歯科的障害を伴うこともあります。
関節近傍の変形によっては二次性の変形性関節症を生じる可能性があります。
長管骨罹患の場合、凸側ではfissure fractureと呼ばれる長軸に垂直な骨折線が全径に広がり、chalkを折ったような横骨折を起こすことがあります。
大腿骨罹患患者の約2割強に骨折が生じています。
予後
まれに罹患骨で骨肉腫や骨原発悪性線維性組織球腫など悪性腫瘍の発生があります。
治療
疼痛や、破骨細胞を標的としたものへの薬物療法、
変形に対する装具療法、
変形や骨折に対する手術療法が考えられます。
接骨院ではどうしようも無いです。
こういった疾患があるって事だけ頭の片隅にあればいいと思います。