整形外科勤務時に数人の患者さんがこの疾患で来られていました。
整形外科なので患者さんは当然身体の不調で来院されます。
院長先生が問診からこの疾患を疑って
「手と足の裏を見せて」
というと患者さんは「なんで?」って顔をします。
身体の不調となんの関係があるのか?
「汚いから見せたくない」と言います。
そうなると、もうこの疾患がほぼ確定的です。
患者さんは手と足の裏に皮膚病変を持っていて、それが身体の不調と関わりがある事に驚くことになります。
SAPHO症侯群とは
原因不明の皮膚病変と骨関節病変を呈する症侯群です。
・Synovitis (滑膜炎)
・Acne (座瘡)
・Pustulosis (膿疱症)
・Hyperostosis (骨化症)
・Osteitis (骨炎)
この5つを特徴として、頭文字をとってこの名前がついています。
掌蹠膿疱症について
掌・足底に無菌性で多数の膿疱がほぼ両側性に出現し、これらは寛解や増悪を繰り返します。原因は明らかになっていません。
【説1】
慢性扁桃炎・虫歯や歯肉炎などの病巣感染や歯科用金属・アクセサリーなどによる金属アレルギーとの関連
【説2】
ビタミンの一種であるビオチン不足や喫煙などとの関連
掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)
症状
主訴として前胸部に腫脹や疼痛を訴えます。(増悪時には発赤や熱感、圧痛なども発生します)
前胸部病変以外にも、腰背部痛や脊椎、末梢関節にも腫脹や疼痛がみられることがあります。
外観
前胸部膨隆、疼痛緩和のためにいかり肩を呈することがあります。
診断
特異的な検査所見はみられず、診断は臨床症状と画像所見になります。
血液検査では、CRP抗体の上昇、赤沈亢進、リウマトイド因子・HLA-B27陰性などを呈します。
骨シンチでは、単純X線像に変化がない場合でも高率に集積がみられ、早期診断と病変部位の特定に有用です。
X-p所見では、前胸部に骨増殖像、骨棘形成、骨肥厚などが見られます。
脊椎部においては、胸腰椎移行部から上位腰椎に病変がみられ椎間板炎様を呈し、水平方向へ骨棘を形成し上下が癒合しアーチ状となります。
胸肋鎖病変は70〜90%と一番高く、次いで仙腸関節に13〜52%、脊椎に 33%、四肢の骨格に30%、扁平骨に10%とされていています。
治療
病因不明のため対処療法がなされます。
骨関節症状に対しては非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が多く用いられ、掌蹠膿疱症の皮膚病変に対しては、ビオチンが多く用いられます。
院長先生はリウマチの薬を処方されたりしました。