身体能力テストの結果が良い人は全死因死亡率が低いことが、高齢者を対象とした試験において一貫して示されています。
英国のロンドン大学では、それより若い世代でも同様の関連が認められるかを検討し報告しました。
53歳時の身体能力を3つのテストで調べ、ある期間追跡した結果、ベースライン時の身体能力が低かったり、テストを受けられなかった人では、死亡率がより高かったことが分かりました。
この結果から、若い世代でも同様のテストで、健康長寿を達成できそうな人とできそうもない人を特定できるようだと示唆しています。
調査内容
53歳時に行われた3つの共通した身体能力テスト
握力、いすからの立ち上がり動作速度、立位バランス時間
の各スコアおよび複合スコアと、全死因死亡との関連を調べました。
また、それらのテストを受けられなかった人の死亡率との関連が認められるかについても調べました。
主要評価項目は、53歳時~66歳時の期間の全死因死亡としました。
被験者は、男性1,355例、女性1,411例でした。
調査結果
追跡期間の死亡は、177例(がん死亡88例、心血管疾患死亡47例、その他42例)、5.1例/1,000人年でした。
分析の結果、53歳時に3テストを受けられなかった人およびスコアが最低位群だった人は、スコア最高位群の人と比べて死亡率が高いことが分かりました。
たとえば、複合スコアでみた場合、最低位群の人の全死因死亡率は最高位群の3.68倍でした。
さらに、3テストをいずれも受けられなかった人は、すべてを受けた人と比べて同8.40倍でした。
また、3テストの中では、立位バランス時間が、その他2つの測定値よりもより強く死亡率と関連するというエビデンスも見つかっています。