米国は子供のスポーツに対して過保護なのか、子供のスポーツ活動に制約をするいろんな論文があります。
12歳未満の子どもには、好きなスポーツ競技1つだけに偏って練習することは避けたほうがよいという研究結果が報告されています。
1つの競技に特化することで怪我をするリスクが高まるとのことです。
米エモリー大学(アトランタ)整形外科では、7~18歳の若い運動選手1,200人近くを対象に、スポーツ外傷のリスクを評価しました。
3年間のトレーニングスケジュールを追跡したところ、対象者の約40%が研究期間中に怪我をしていました。
怪我をした選手は、平均年齢12歳未満で1つのスポーツ競技に特化しはじめていて、高度に特化した選手の約3分の2は、繰り返し怪我をしていました。
怪我をしなかった選手では、1つの競技に特化しはじめた年齢が平均で12歳以降でした。
スポーツ外傷を経験した選手は、経験しなかった選手に比べて、特定の競技に特化している傾向がみられました。
若い選手はシーズンごとに別の競技にも参加し、年間で(連続しない)3カ月以上は競技を休むべきで、競技により異なりますが、専門的に取り組みはじめてもよい年齢を定めておくべきとしています。
それにより、若い選手の怪我のリスクを軽減できる可能性があります。
子どもの場合、複数の競技を行い、1週間の練習時間は自分の年齢よりも少なくするようにと専門家はアドバイスしています。
確かに日本ではリトルリーグで競技をしている子供は、土日に練習時間を詰め込み過ぎる傾向にあるかもしれません。
そして、他の競技をしてみて新たな才能に気づくという良い機会に恵まれるかもしれません。
武道が勧められている
そして、安全のために子供は非接触型の武道のみを行うべきだという米国小児科学会の報告もあります。
米国では、総合格闘技や空手、テコンドー、柔道といった武道を習っている子供が大勢います。
これらの競技は健康や運動技能、情緒的発達を向上しますが、外傷のリスクは高いです。
武道による外傷は打撲傷や捻挫が大半を占めますが、より深刻な傷害が起きることもあります。
たとえば、総合格闘技の練習では脳震盪、窒息、脊椎損傷、動脈破裂、その他の頭頸部外傷のリスクが高くなります。
リスクの高い動作は、頭部の直接殴打、床への頭部の打ちつけの繰り返し、窒息させるような動作などもあります。
外傷の発生率は、武道の種類によりますが練習1,000回あたり41~133件あるそうです。
ソフトヘルメットなどの防具が脳震盪から身を守るという証拠がなく、安全だと勘違いする可能性もあるといいます。
米国の専門家は、総合格闘技の大会や接触を伴う練習は心身が十分に成熟するまで待ってから実施するよう勧めていますが、総合格闘技を武道の範疇に入れていることもおかしいように思います。
そして、柔道などは多少怪我をしながら受け身を身体で覚えて行くので、過保護すぎる稽古も意味をなさないかもしれません。
トランポリンが一般家庭に普及し過ぎ
米国整形外科学会が保護者に対してトランポリンが子どもには極めて危険であると注意喚起しています。
特に6歳未満の子どもは負傷するリスクが高いため、トランポリンで遊ばせるべきではないとしています。
米国内での病院ではトランポリンによる負傷者の治療件数が2015年だけで29万5,000件を超えています。
このうち約10万3,000件は救急部門での治療でした。
米国のある小児整形外科医は、トランポリンで安全に飛び跳ねるために必要な筋肉の協調運動や身体意識(body awareness)、すばやく反応する能力が十分に発達していないため、危険性が高まると指摘しています。
トランポリンに関連して最も多くみられる負傷は捻挫と骨折で、トランポリンのマット、フレーム、スプリング上での転倒、他人との衝突、技の失敗、トランポリンから地面などの硬い面への落下によって起こっています。
日本では米国ほど一般家庭に普及もしていないので件数的には少ないと思いますが、子供の身体機能を考えれば怪我に対して注意は払わなければいけません。