往診で対応した30代男性とのやりとりです。
患者さんが自分で判断し、ネットでいかに上手に情報を得ているか、と言うお話です。
この方は製薬会社に勤務されていて、趣味でテニスを週に1回されています。
テニスをした後に前腕の手の甲側が痛くなり、それでも痛みを騙し騙ししてテニスを続けていたら、痛みは治まったのですが、その後に手関節の尺側が痛くなったそうです。
往診時の主訴は手関節尺側の痛みでした。
話を聞いていた時のやり取りです。
問診での話
患者さんが「私は最初、インターセクション症候群になって、親指を動かすと前腕がギシギシ痛くなる症状になったんです」
と言われたので、インターセクション症候群という言葉を知っていたので整形外科に行かれたのかと思い、
「整形外科で治療してたんですか?」と尋ねると、
「はい、湿布やら痛み止めをもらいました」とお答え頂きました。
「でも、よくドケルバン病と間違われて診断されるので、ちゃんと診察されて良かったですね」と私が言うと
「それが整形外科ではドケルバン病と診断されたんです」と言われました。
「?。他の整形外科に行ったんですか?」
「いや、自分ではドケルバン病じゃないなって思ってネットで調べたんです。そしたら自分の症状とぴったりなのがあったんで。これだって思いました」
と言うことでした。
試しに検索で
「親指を動かす」「ギシギシ痛い」
で検索すると、しっかりとインターセクション症候群が出てきます。
説明も詳しく載っているサイトもあり、これを見たら自分がドケルバン病では無いというのは明白です。
診断は自分でして、処方薬を求める時代になる
ドケルバン病とインターセクション症候群では臨床上よく目にするのはドケルバン病です。
だからドケルバン病と間違えてしまうのもしょうがないのです。
ただ、このように間違って診断を受けると信頼を損ねてしまう事になります。
今後、不信になった患者さん達が自分で自分や家族の症状で診断してしまうような日が来るかもしれません。
ネットではそれだけ十分な情報は集められるのです。
そして病院やクリニックで医師に持病や体質を考えての処方薬を貰うという流れになるかもしれません。
AIが発達すればパソコンでのやり取りで処方薬が貰えるという時代も近いでしょう。