fat pad signについて
転位がごく微小でレントゲンでも骨折が確認できない場合に、骨折による血腫で骨折部周辺の脂肪組織が圧排されて持ち上げられ、それがレントゲン写真に写る事があります。
この脂肪組織の陰影像をfat pad signと呼んでいます。
肘関節の骨折ではよく目にされます。
関節血腫や水腫があると、正常ならば鉤突窩・肘頭窩にある脂肪体が張り出されて、レントゲン上では側面像で透明像(黒い像)として描出されます。
前方の脂肪体によるfat pad signは正常でも見られる事がありますので、後方の脂肪体陰影の有無が手がかりとなります。
しかし、症例によってはfat pad signが明瞭でなかったりすることもあります。
上腕三頭筋の形を追う
そこで、上腕三頭筋の後方への偏位が血腫の圧排に伴って起こるものと考えて、上腕骨下端後縁と上腕三頭筋後縁の距離を測定し、健側との差を調べて血腫の有無を知るという方法も考えられています。(左右の肢の撮影は同じ条件で)
追記
私が某誌で連載をしていた時に、上腕骨顆上骨折にfat pad signが出ると書いて、編集の際に
「関節外骨折であるのでfat pad signは出ない」
と監修をして頂いた先生から指摘をされ、恥ずかしい思いをした事があります。
なぜか、上腕骨顆上骨折ではfat pad signが出ると覚えていました。
もしそのように覚えている方がいましたら、注意しましょう。