HOME > 勉強 > その他 > その他 柔道整復師が知っておくべき感度と特異度の知識 更新日:2020年6月4日 整形外科の理学検査の本でよく書かれているので目にする言葉だと思います。 あまり意味が分かっていなくても、検査がしっかりとできていて客観的に評価ができていればそれで良いのですが、この検査がどれだけ「有効」なのかは知っていなくてはいけません。 感度とは 疾患のある人だけを見て、そのテスト法で陽性とする割合です。 特異度とは 疾患の無い人だけを見て、そのテスト法で陰性とする割合です。 例 例えば手根管症候群を検査するテスト法でPhalenテストがありますが、 このテストの感度が98%で特異度が98%とします。 ここは、分かり易いようにあえて高い数字を設定します。 感度だけを見て、 「感度が98%もあるなら、このテストをして陽性だった場合、98%の確率で手根管症候群だ」 と言う訳ではありません。 上の表のように、疾患のある人だけを対象にしているものです。 確かに手根管症候群である人の98%の人達が陽性となりますが、疾患の有る無し関係なく無作為に大勢の人にPhalenテストを行うと、手根管症候群でない人達(健常者)もこのPhalenテストで陽性となる可能性がある訳です。ですので、Phalenテスト陽性=手根管症候群とはならない訳です。 では、この感度から何が分かるのかというと、 感度が高いと設定したこのPhalenテスト法で陰性だった場合というのは、 「200人の患者で、疾患のある人で陽性が98人、陰性が2人とします。疾患の無い人が陽性50人、陰性50人とします。このテストをした場合に、疾患ありでも陰性に出る人たった2人だけ」と考えられる訳です。 患者の数と疾患の無い人を勝手に設定しましたが、要は割合なのでこの比率は変わりません。 母集団に対し、2人という数字は無視してもいいくらい少ない数なので、陰性であった場合には、手根管症候群はほぼ除外される訳です。 以上より、感度は除外診断に使います。 次に特異度を見て 「特異度が98%もあるなら、このテストをして陰性だった場合、98%の確率で手根管症候群では無い」と言う訳ではありません。 上の表のように疾患の無い人だけを対象にしているものです。 確かに手根管症候群で無い人の98%の人達が陰性となりますが、疾患の有る無し関係なく無作為に大勢の人にPhalenテストを行うと、手根管症候群である人達(疾患者)もこのPhalenテストで陰性となる可能性がある訳です。ですので、Phalenテスト陰性=手根管症候群では無いとはならない訳です。 では、この特異度から何が分かるのかというと、 特異度が高いと設定したこのPhalenテスト法で陽性だった場合というのは、 「200人の患者で、疾患の無い人で陰性が98人、陽性が2人とします。疾患のある人が陽性50人、陰性50人とします。このテストをした場合に、疾患がなければ陽性はたった2人しか出ない」と考えられる訳です。 患者の数と疾患の無い人を勝手に設定しましたが、要は割合なのでこの比率は変わりません。 母集団に対し、2人という数字は無視してもいいくらい少ない数なので、陽性であった場合には、手根管症候群がほぼ確定される訳です。 以上より、特異度は確定診断に使います。 補足 但し、特異度を見て確定診断をする際には、感度も加味されます。 例えば、健常者にSLRテストをすると、手根管症候群を疑うテストとしてはもちろん特異度100%となります。じゃあ、SLRテストをして陽性になれば手根管症候群なの?という事になりますが、ここでSLRテストが手根管症候群のテストとして感度が高ければ、SLRテストで陽性で手根管症候群と言えることになります。もちろん実際は感度は0に近いほど低いので、SLRテストで陽性=手根管症候群とはならない訳です。 まとめ -その他