子供の肩鎖関節脱臼って?
お子さんが肩のケガをして、病院で肩鎖関節脱臼という診断を受けた時に気をつけたいのが、子供に肩鎖関節脱臼が起こるのだろうか、ということです。
一応、医学文献上では存在しています。
でも、限りなく数は少ないと考えます。
もし、高校生くらいまでのお子さんが肩鎖関節脱臼と診断を受けた時、知っておきたいのが『肩鎖関節偽性脱臼』の存在です。
肩鎖関節脱臼とは
肩甲骨にある肩峰という部分と、鎖骨を結んでいる靭帯である
「肩鎖靭帯」
肩甲骨にある烏口突起という部分と、鎖骨を結んでいる靭帯である
「烏口鎖骨靭帯」
この靭帯が損傷を受けて、鎖骨が上に移動してしまうように見える状態です。
(実際は、鎖骨に肩甲骨がぶら下がっている状態なので、肩甲骨は腕の重みで下がる状態となります。鎖骨は胸鎖乳突筋の作用で跳ね上がろうとしますが、三角筋の作用で抑えられると言われています。しかし、受傷部位の筋トーヌスの低下により三角筋の作用は軽度と考えます。ですので、鎖骨は少なからず跳ね上がっていると私は考えています。)
外観上では肩に盛り上がりが見えます。
肩鎖関節偽性脱臼とは
子供の場合、外力を受けた時に、先に述べた靭帯よりも骨に外力が加わり、骨端軟骨部で骨折を起こします。
そして子供には分厚い骨膜がありますが、骨膜を破り飛び出た状態がレントゲン上では肩鎖関節脱臼に似ているので間違われてしまうのです。
治療は?
治療方法は肩鎖関節脱臼の保存療法と変わりません。
装具療法になります。
治療法さえ合っていれば治癒が期待できます。
レントゲン上でも治癒過程で鎖骨外側部に仮骨が見られます。
しかし、肩鎖関節脱臼は手術療法が選択されることが多いです。
『肩鎖関節偽性脱臼』の場合では、手術療法ではなく保存療法で十分治るので気をつけたいところです。