若年性特発性関節炎(JIA)とは
小児期(16歳未満の年齢)に発症する原因不明の慢性関節炎と定義されています。
病態は“関節の慢性炎症”であり、病理学的には関節滑膜や骨への細胞浸潤と滑膜増殖をきたし、軟骨・骨の破壊と線維化が生じます。
最近、炎症のメカニズムが解明されつつあり、生物学的製剤の登場で、炎症性サイトカインが直接の炎症惹気因子であることが分かっています。
どのくらいの頻度
小児人口10万人に10~15人とされています。
2つのタイプ
全身型
弛張熱・リウマトイド疹・関節炎を3主徴とする疾患で、時に肝脾腫・胸水・心嚢液貯留などがあります。
最短で2週間以上続く高熱を伴い、あるいは高熱が先行してあります。
発症のピークが1~3歳と5~8歳にあり性差は少ない(男女比1:1)です。
肩関節、股関節に炎症をきたす事が多いです。
2週間以上にわたり1~2回のピークがある弛張熱が毎日続き、発熱直前および発熱時にサーモンピンクの皮疹があります。
全身型JIAの約8%が経過中に突然死することが知られています。
関節型
血清反応の有無により、リウマトイド因子陽性型・抗核抗体陽性型・血清因子陰性型に分けられます。
発症6ヵ月以内に1~4ヶ所の関節に限局するものを少関節炎型、5ヶ所以上あるものを多関節炎型とします。
少関節炎型において、このうち6ヵ月以上経過しても5関節を超えないものを少関節炎・持続型、5関節以上に増加するものを少関節炎・進展型とします。
不適切な治療により炎症が持続すると1~2年の経過で関節拘縮・破壊に至ってしまい、長期経過の後には関節の強い線維性拘縮となる場合があります(強直化)
画像診断
全身型のX‐P画像では、骨端核の形成不全や関節周囲の骨粗鬆化が主体で、関節裂隙の狭小を示すことはあまりありません。
治療
全身型
鑑別診断による確定診断まで非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)が使用されます。
関節型
発症後1~2年経過するうちに骨・軟骨の破壊が進行しますので、早期診断と早期治療が必須です。
確定診断までの治療は全身型と同じNSAIDsを用います。