いわゆるjersey finger injuryと呼ばれるものです。
ボルタリングが2020東京オリンピックで
公式競技になったことでブームとなっていますので、
このケガが今後増えることと思われます。
整形外科に勤めてすぐの頃に、ロッククライミングで受傷した
この疾患の患者さんが来られたのを覚えていますが、
知識も何もな無かった頃なので、「へ〜」って思うだけでした。
どんなケガ?
手指の屈筋腱皮下断裂です。伸筋腱皮下断裂よりは一般的ではありません。
どんな人に多いの?
スポーツ選手に多く見られます。
特にラグビーに多く、ついで柔道、アメフト、サッカーなどでみられます。
どの指に起こる?
環指の深指屈筋腱の付着部での断裂が一番多いです。
これは手を握ると環指が手掌部に一番近くことと、
環指の深指屈筋腱の付着部が他の指に比べて脆弱性があるためです。
受傷起点
屈筋腱の指の付着部での断裂以外に繰り返される摩耗により断裂することがあり、
既往に有鉤骨骨折がある場合、鉤部で屈筋腱の脆弱性が生じ断裂します。
jersey finger injuryは、DIP関節に持続的に屈曲力が加わっている時に強い伸展力が加わることで起こります。
図ではタンデュ肢位での受傷が当てはまります。
例えば4指で支えている時に、中指、環指、小指が抜け落ちた時、
示指1本で支えることになりますが、
屈曲していたDIP関節は過伸展することになるので
その時に深指屈筋腱が断裂します。
これに対し、
flexion against force typeは指を屈曲した状態で持続的に屈曲力が加わることで起こります。
治療法
新鮮例での保存療法は難しいですが、陳旧例で日常生活に支障が無ければ保存療法が適応と考えられます。ロッククライミング競技を続ける場合には関節固定術を受けることで競技復帰が可能となります。