股関節・膝・足

ケガした覚えが無いのに、足の小趾の付け根が痛い

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Iselin病(イセリン、イズリン)病

この疾患は、整形外科の本に記載されることが少ないので、充分に認識されていません。

小指側の足の甲の骨(第5中足骨)の粗面部での骨端症のことで、スポーツ障害の現場では少なからずあります。

原因

第5中足骨粗面部に付着する筋・腱の牽引力の影響によるもので、足首を外返しにする筋肉(短腓骨筋腱)と小趾を曲げる筋肉(小趾屈筋)もしくは小趾を外に開く筋肉(小趾外転筋)の関与があるとされています。

骨端部への小外傷ストレスにより炎症が生じるとされていて、成長期のスポーツ活動で繰り返されるダッシュやジャンプ、サイドカッティングなどの動作が主な原因と考えられます。

いつ頃起こる

急激に身長が伸びる第2次成長期の小学校6年生から中学2年生に多いです。

成長期のスポーツ選手が、明らかなケガが無いのに第5中足骨粗面部の痛みを訴えた場合はこの疾患を念頭に置く必要があります。

鑑別の注意点

骨折との鑑別がしっかりとされないと、患者に間違った治療法や認識を与えてしまうことになります。

イセリン病と第5中足骨裂離骨折の鑑別は、外観や圧痛、その他の理学検査でもわかりません。

レントゲン検査など画像のみによって鑑別がなされます。

画像上の鑑別点は、イセリン病に見られる骨端線は第5中足骨軸とほぼ平行に走っているので、骨端線の近位端は立方骨との間の足根中足関節や第4中足骨との間の中足間関節には達しません。

 

一方、骨折線は中足骨軸に対して垂直に走るので、立方骨もしくは第4中足骨との関節に向かいます。

対側の足のレントゲン像を比較することも有用ですが、骨端核が片側だけ早く癒合している場合もあるので注意が必要です。

また、副骨であるヴェサリウス骨(Os vesalianum)との鑑別も必要になります。これはイセリン病の場合、骨片を除いた中足骨本体粗面部が一部欠損したような不完全な形状をとることから鑑別ができるということですが、海外の報告を見るとそうでもなさそうで、鑑別は難しいかもしれません。

治療法

成長期の症例で骨端核の癒合が確認できるものは、安静、ギプスシャーレや足関節装具などで2週間前後の外固定で対処します。

しかし、成長期以降で骨端核癒合不全の状態となり、上記保存療法に抵抗する場合は手術療法が選択されます。

 

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