ギオン管症候群とは
尺骨神経麻痺で多いのが、肘で神経が障害を受ける肘部管症候群ですが、手の付け根の骨(手根骨)の間を神経が通るときに圧迫を受けて障害される『ギオン管症候群』があります。
肘部管症候群との簡単な見分け方は、第5指の手背部での知覚障害が無いかですが、
(知覚枝は手掌側と手背側に分岐します)
手背部の感覚障害には患者さん自身も自覚しずらく、手掌側の方がより分かりやすいみたいです。
ギオン管症候群は、教科書では母指の内転筋や小指の外転筋が障害され、知覚にも異常があると習いましたが、知覚に異常がない場合もあります。
この時考えられる疾患として、頚部由来の運動枝のみの障害と考えるか、ギオン管でも運動枝だけを絞扼するものの可能性があります。
柔道整復師が学校で習うギオン管と狭義なギオン管
教科書で習うギオン管では、運動と知覚の両方の神経が障害されます。
(近位より◯までの圧迫)
教科書で習うギオン管を通過してから運動枝と知覚枝に別れ、運動枝はさらにトンネルを潜ります。
これが運動枝を障害させる狭義のギオン管(◯印の部分」と呼ばれています。
尺骨神経運動枝が
小指外転筋
短小指屈筋
母指内転筋・骨間筋
と順に分岐して行きます。
狭義のギオン管の中でも圧迫部位によっては影響を受けない筋もあります。
ギオン管症候群を疑った場合には筋力検査は事細かに行わなければいけません。