正中神経麻痺には主要なものとして、手根管症候群と回内筋症候群、そしてこの前骨間神経麻痺があります。
この3つの疾患を頭の中で整理できていないと、整合性に合わないことが出てきた時に患者さんへの説明ができないことになります。
前骨間神経とは
正中神経から分岐したほぼ純粋な運動神経の枝で、示・中指の深指屈筋、長母指屈筋、方形回内筋を支配します。
麻痺の原因
疾患の発生機序については、不明な点が多く、正中神経が肘のレベルで筋腱膜やその他の何らかの原因で圧迫を受ける絞扼性神経障害だけでなく、神経炎の関与も示唆されていて、その病態は多様とされています。
症状
前骨間神経が運動神経の枝な為、知覚障害はありません。
母指と示指で円を作るよう指示するとtear drop型となり、母指IP関節、示指DIP関節の屈曲障害による祈祷肢位というものをとります。
方形回内筋の機能不全による前腕の回内障害は、他の筋肉の代償により患者が訴えることは少ないので、方形回内筋の機能検査を必ずしなくてはいけません。
治療
局所安静による保存療法を行い、6ヶ月の保存的治療で徒手筋力テスト(MMT)が2以上に回復しないものや、経過中症状が増悪するもの、安静で症状が改善するが手の使用により再発する場合には手術が考慮されます。