症例

ギラン・バレー症候群

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この疾患は、上気道炎や下痢などの先行感染症の後に1〜2週間して急に四肢の筋力が低下する自己免疫性末梢神経障害です。

過去に職場の人が罹患し大変だったので覚えています。

先日、この疾患に10年前に罹患し、その後に片脚の痺れが残っている患者さんが来院されました。

どうにかしたいという事でしたが、接骨院では改善は見込めないです。

整形外科にも通院しているとのことでしたが、治療は神経内科の方が良いように思います。

 

疫学

年間で10万人に2人程度の発症と言われています。

あらゆる年齢で発症しますが、若年男性と高齢者にやや多いです。

男女差では男性に若干多く見られます。

 

分類

①AIDP:末梢神経の髄鞘が一次的に障害されるもの(欧米に多い)

②AMAN:末梢神経の軸索が一次的に障害されるもの(日本で多い)

 

病因

分類に挙げた①のAIDPは先行感染病原微生物が同定されない事が多い。

②のAMANは下痢が先行し、感染が証明されていて発生機序も推測がされています。

 

発生機序

⑴免疫寛容の破綻した感染患者の腸で抗体が作られて、血液神経関門の脆弱な脊髄前根で神経軸索膜上に結合します。

⑵この抗体により活性化された補体がランビエ絞輪に沈着して軸索膜を傷害してナトリウムチャネルの消退させ、電気伝導の障害がおこる。

⑶機能障害→器質的変化(Waller変性)を起こす。

 

症状

【筋力】

発症前、上気道感染(約6割)下痢(約3割)が先行します。

腰痛や筋肉痛、関節痛といった症状が出たのち、

1〜2日後に四肢筋力低下が起こります。

握力低下で気づく事が多いのですが、

四肢麻痺は下肢から上肢に進行します。

筋力低下が上肢だけに限局することもあります。

筋力低下の左右差はありません。

顔面筋の筋力低下もあり、外眼筋麻痺※1や球麻痺※2を伴うこともあります。

※1:眼球を動かす4つの外眼筋(上直筋、下直筋、内直筋、下斜筋)

※2:延髄にある脳神経核が障害され、口・舌・喉に、構音障害(呂律が回らない)、嚥下障害(飲み込みが悪くなる)、呼吸や循環の障害が生じる事。

延髄は丸い形をしているので “球”と呼ばれていて、延髄の麻痺のことを球麻痺といいます。

【痛み・感覚】

手袋・靴下型の痺れや痛み、感覚障害があります。

 

【反射】

腱反射は低下します。

腱反射が保たれる広義のギランバレー症候群もあります。(分類②のAMAN)

 

診断

急速に進行する四肢の筋力低下は同疾患を疑います。

発症1〜2週前の上気道炎や下痢などの感冒症状は必ず聴取しなければいけません。

腱反射の消失・低下があれば推定はできます。

AMAN→下痢の前駆症状があり顔面神経麻痺は無く、感覚障害が無い。四肢遠位の筋力低下があり、重症で後遺症を残しやすいです。

AIDP→若年女性で顔面神経麻痺と手袋・靴下型の感覚障害

 

治療

まず、接骨院で治療しようとはせず、神経内科に対診をお願いします。

多くは3週以内にピークに達してその後に徐々に回復します。

稀に、数時間の経過で下肢麻痺→四肢麻痺→呼吸筋麻痺に進行する事があり、

生命に関わる事があります。

 

 

今回ご来院頂いた患者さんは坐骨神経のような症状を訴えており、整形外科で狭窄症の診断を受けています。

ご本人はギランバレー後の痺れが残っている、という表現をしていました。

本人も10年前の痺れが良くならないことは分かっているみたいで、

良くならないかもしれない、というのは承知の上でした。

神経そのものの障害である場合なのか、精神的なものかまだ分かりませんが、

患者さんに理解がある場合には治療が進めやすいです。

 

 

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