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骨折

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骨折をしたときに骨折部の出血や壊死、炎症などして、細胞やサイトカインが働き、仮骨を新生して新しい骨を作り上げます。

その人が骨を癒合する力を持っているかどうかが重要な問題となります。

骨が癒合する可能性を持つかどうか、あらかじめ全身状態・骨折部の局所状態を推察しておかなければいけません。

過去の報告では骨癒合力というのは,手術の回数を経るたびに,加速度的に低下していくそうです。

つまり、開創すれば骨癒合力は一気に低下するわけです。

開創しない保存療法は優れた方法と言えます。

骨折の治療をする前に、整形外科医にその患者の全身状態,骨折部のX線画像などを総合的に考慮し、治療には手術が必要か(または必要でなかったり,不可能であったり)を決定してもらい、柔道整復師が治療するという流れが一番良いと考えています。

 

骨折治癒のための要素

♦︎幹細胞の供給があるかどうか

いずれ骨細胞に分化していく間葉系幹細胞が骨を形成するには不可欠です。これは末梢血にも少量存在していますが、最も多く含んでいるのは骨髄です。

骨折部の近位側と遠位側の骨髄の連絡があり、それらの骨髄が壊死していなければ、骨折部に幹細胞の供給があると考えられます。

しかし,骨折部に偽関節や瘢痕組織・筋組織 などが存在しているときは、両骨髄は遮断されていると考えられます。

極端に高齢であったり、骨髄が線維化してしまっている場合、これも有効な幹細胞の供給は望めません。

発症から時間が経過していて、骨折部にX線透過性の領域があり、骨性の組織がその領域を迂回して存在する場合には、骨折部に瘢痕組織が存在する場合があります。

固定状態が悪く、微小新生血管が形成されては動揺によって断裂するという機序を繰り返すと、瘢痕組織・軟骨組織が形成されます。

このような場合にも,骨髄の連絡は望めません。

高齢になると骨髄の中の幹細胞が少なくなり,そのことが骨癒合力を低下させている原因の一つとなります。

サイトカインの中には、幹細胞を増殖する役割を持つものが有り高齢であっても、非侵襲で治療することでサイトカインは生き残り、骨癒合を可能にします。

 

♦︎サイトカインが残存しているか

非開創手術で行った手術であれば,サイトカインは残存する傾向にあります。

しかし、開創手術を実施し、長時間大きく開創すると、サイトカインは阻害されることになります。

骨折時に生じた出血の際に形成された血腫の中にはサイトカインが多く含まれています。

これをむやみに動かしたり除去してはいけません。

「血腫は触ってはいけない。動かしてもいけない。見てもいけない。」ということです。

仮に多数回手術をすると、手術回数を重ねるごとにサイトカインや骨折部の細胞は侵襲を受けて骨の癒合力は低下していきます。

高齢者はサイトカインの幹細胞増殖が骨折治癒の重要点となるので非侵襲的な方法(保存療法)で治療するのが良いでしょう。

<サイトカイン>

生体の自己治癒能力の一環として、ダメージを受けた組織を修復したい時には生理的に多くの種類のサイトカインが適時に適量、適所に発現します。

骨癒合不全の症例においは、サイトカインのこのシステムはすでに終わっているので、これらのサイトカインが発現してきません。

そこで自己血小板を凝集・濃縮して、活性化させて局所に使用するという方法があります。

血小板の止血機能は知られていますが、近年には組織損傷に対する修復に大きく役立つサイトカインの宝庫であることが判明しています。

そこで、患者から自家血を採取し遠心分離して,血小板に富む血漿(Platelet Rich Plasma:以下PRP)という形態で局所に使用します。

血小板の中には,TGFhβ(トランスフォーミング増殖因子),PDGF(血小板由来増殖因子),IGF(インシュリン様増殖因子)といった,組織損傷を修復するサイトカインが詰まっています。

これらの因子が、幹細胞や前駆細胞を増殖・活性化させて毛細血管を新生し、結果として骨折治癒を促進させます。

自己サイトカインをPRPから利用する以外に、遺伝子組み換えによって作成されたサイトカインを利用する方法もあります。

幹細胞の豊富な部位ではBMP(Bone Morphogenetic Protein骨形成因子)が有効で、BMPは未分化な細胞を骨芽細胞そして骨細胞へと分化させていく分化誘導因子です。

幹細胞の少ないところで(骨癒合不全の症例などで)活躍すると考えられるのが、b-FGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)で、b-FGFは細胞が産生するサイトカインの一種であり、1.幹細胞や骨芽細胞を増殖する 2.毛細血管を新生する 3.それらの結果として組織の再生を加速する、といった働きを持っています。

 

♦︎血行が温存されているか

骨折部の血行は骨髄内からの血行と筋組織から骨外膜への血行に分類されます。

骨髄内の血行はおもに幹細胞と骨そのものの存続にかかわります。

筋組織からの血行は外骨膜に栄養供給することによって仮骨を増生するという役割を持地ます。

つまり筋組織からの血行は、プレート法の手技(開創しての骨膜剥離)では外骨膜が壊死し、仮骨が得られないという結果となるリスクがあります。

(開創によって骨膜を剥離すること,そしてプレートによって筋と骨膜を隔てることが,大幅に骨癒合を遅らせる可能性があります。)

『筋組織からの血行』→『外骨膜の栄養供給』→『仮骨増生』→『骨癒合』

という流れは、骨折治療に非常に重要なものです。

 

♦︎環境があるかどうか

身体のいずれの組織が損傷を受けても、新しい組織が形成されるためには、その部位に新しい血管・新しい細胞が生育できる足場(骨折の場合は血腫)が必要です。

たとえ新しい血管や新しい細胞が生育できる足場が存在したとしても、その足場がマクロの動きを繰り返すと、新生血管は何度も断裂し、新しい組織は生成されません。

遂には無血管性の瘢痕組織または軟骨組織となることがあります。一旦こういう組織が骨折部に生成されると、ふたたび骨組織に置換されることが困難となりますので、しっかりとした固定が求められます。

 

接骨院では開創しないで骨折部を固定する保存療法を行います。

整形外科で医師の診察を仰ぎ、手術しないで保存療法で治療できるとなれば、ぜひ接骨院での治療を受けて下さい

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